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結婚に関して、外国の法律が絡んでくる場合とは

日本人同士が、日本で結婚する時には、日本の法律だけが関係してきます。

 

では、外国の法律も関係してくるときとはどのような場合があるでしょうか。

 

@日本人同士が、外国で、結婚する。
A日本人と外国人が、日本で、結婚する。
B日本人と外国人が、外国で、結婚する。
 A:「外国籍の人の母国」で
 B:「第三国」で
C外国人同士が、日本で、結婚する。
 A:「同国籍」の外国人同士が
 B:「他国籍」の外国人が

 

上記のような場合には、外国の法律が絡んできます。
ではその場合、関係するどの国の法律によって婚姻手続きを行うのでしょうか。

国際私法とは

自国の法律だけでは解決できないような事柄については、それぞれの国で、諸外国の法律と抵触しないように「国際私法」という独自の抵触規範を定めています。

 

日本では、国際私法のうち最も中心的な法律である「法の適用に関する通則法」で、どのような場合にどの法律を適用するのかを定めています。

 

国際私法(どの国の法律に従うべきかを各国が定めている法律)では、婚姻については
「婚姻の成立」「婚姻の方式」「婚姻の効力」が定められていて、だいたい「本国法による」(当事者が国籍を有する国の法律に従う)、または「婚姻挙行地法による」(婚姻する国の法律に従う)のいずれかの定めがあります。

日本人と外国人の結婚について

日本の国際私法である「法の適用に関する通則法」では、婚姻の成立、方式、効力について、以下のように定めています。

 

(婚姻の成立及び方式)
第二十四条  婚姻の成立は、各当事者につき、その本国法による。
2  婚姻の方式は、婚姻挙行地の法による。
3  前項の規定にかかわらず、当事者の一方の本国法に適合する方式は、有効とする。ただし、日本において婚姻が挙行された場合において、当事者の一方が日本人であるときは、この限りでない。

 

(婚姻の効力)
第二十五条  婚姻の効力は、夫婦の本国法が同一であるときはその法により、その法がない場合において夫婦の常居所地法が同一であるときはその法により、そのいずれの法もないときは夫婦に最も密接な関係がある地の法による。

 

上記の条文の意味するところを解説していきます。

 

1.婚姻の成立
婚姻の成立について、婚姻適齢(婚姻できるのは〇歳以上との定め)、重婚、保護者の同意の必要性など、その人が結婚できる条件についての定めに関しては、婚姻する当事者それぞれの法律に従うと定められています。(本国法主義)

 

例えば、日本人女性とカナダ人男性が結婚する場合には、日本人女性については日本の法律を、カナダ人男性についてはカナダの法律を適用するという意味です。

 

ここで注意が必要なのは、当事者一方にのみ関係する「一方的要件」と当事者の双方に関係する「双方的要件」があるということです。
一方的要件・・婚姻意思、婚姻適齢、第三者の同意、肉体的精神的障害
  ⇒ 当事者各自の本国法のみが適用される。
双方的要件・・重婚禁止、再婚禁止期間、近親婚の禁止等
  ⇒ 当事者双方の本国法が、両者に適用される。
 両者の本国法に違いがある場合には、より厳しい本国法の条件をクリアする必要がある

 

※外国人の本国の国際私法が、婚姻の成立について「挙行地主義」を採用している場合に、日本で日本人と外国人が結婚する時には、挙行地は日本なので、日本の法律だけが適用されることになります。

 

2.婚姻の方式
婚姻の成立とは、日本では「婚姻届を提出すること」を指します。
他の国では結婚の登録や登記、決められた儀式などが必要な場合もあります。

 

日本の国際私法による規定では、「婚姻の方式は、婚姻挙行地の法による」と規定されています。

 

日本で、日本人と外国人が結婚する場合・・日本法に拠らなければならない。
外国で、日本人と外国人が結婚する場合・・外国法または日本法に拠る。 
 外国の国際私法でも「当事者の一方の本国法が有効」と規定されていれば日本法で婚姻する
 ことも可能。
 「挙行地法による」とだけ規定されている場合にはその外国法に従わなければならない。

 

ただし、日本人が外国の方式によって婚姻する場合には、住居地の市町村へ報告しなければなりません。

 

※詳しくは、コチラ「国際結婚の手続き」のページをご覧ください。

 

3. 婚姻の効力
婚姻の効力とは、婚姻が成立した後に発生する、夫婦間の身分上および財産上の様々な法律関係や効果のことです。

 

日本の民法では、「婚姻の効力」(750条から754条)と「夫婦財産制」(755条〜762条)が規定されています。

 

具体的に列挙してみると以下のことが、婚姻の効果として発生します。
夫婦同姓
同居、協力、相互扶助の義務
未成年者は婚姻によって成年に達したものとみなされる。(成年擬制)
夫婦間でした契約は、婚姻中いつでも、夫婦の一方からこれを取消すことができる
 (夫婦の契約取消権)
夫婦間の財産についての決めごと(夫婦財産制)・・夫婦は契約によって夫婦間の財産関係
 を自由に定めることができる。夫婦がそのような契約を結ばなかった場合には、
 法律が定めるところにしたがって夫婦の財産関係が定まる。

 

日本の国際私法は、「婚姻の効力」については第二十五条で、夫婦財産制については第二十六条で定めています。

 

日本人と外国人の国際結婚の場合に、主に関係してくるところを具体的に挙げてみます。

 

【戸籍】
日本人は結婚することによって、それまでいた親の戸籍から出て、新たな戸籍が作られます。
外国人と結婚した場合には、日本人が筆頭者となる新しい戸籍が作られることになります。(すでに分籍や離婚などで戸籍の筆頭者になっている場合には、新しい戸籍は作られません)
外国人の配偶者については、配偶者として氏名、生年月日、国籍、婚姻した事実が記載されます。

 

【姓(氏)】
日本の民法で規定されている「夫婦同姓」は日本人の婚姻に適用されるものです。
日本人が外国人と婚姻をしても、姓は変わりません。
外国人の姓を名乗りたい場合には、婚姻の日から6ヵ月以内であれば、市町村の戸籍届出窓口に届け出るだけで、外国人配偶者の姓に変えることができます。

 

【同居、協力、相互扶助の義務】
「日本人の配偶者等」という在留資格(通称「配偶者ビザ」)を取得する場合には、同居して互いに協力し扶助する義務を果たしている実態があるかどうかを、厳しく審査されます。

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